前回の マキタバッテリー 互換USBアダプタの分解と10.8V向け改造の後、正直その大きな筐体がネックだったのですが、結局はマキタ用のコネクタ座と適当なDC-DCダウンバータを最小限なケースに組み込めば良いのではと思いつき、早速製作です。
マキタ互換バッテリーを入手
製作に入る前に、開発時のテスト用にマキタ互換バッテリーを購入してみました(RMB99+送料)。購入したのはまるで純正の4.0Ahモデルを連想させる、BL1041Bと言う型番ですが2.0Ahモデルで、見た目は大差無し。自宅の掃除機に使っている純正BL1021Bと外観を比較してみます。
早速、互換バッテリーの中身を見てみます。中には、比較的大きな出力電流を必要とする電動工具ではおなじみ、LG社の18650HD2が使われていました。容量2000mAh、出力電流は25A出すことが出来ます。 互換バッテリと言えどもよほどおかしな価格でない限り、中身はこの様に純正同等の部品が使われているので、私はあまりこだわりません。
DC-DCダウンバータの選定
DC-DCコンバータ自体が香港から淘寶では買いにくくなっている昨今、まず候補に挙がったのがこちら、HW-676と表記されている、XLSEMI社のXL2001搭載基板です(RMB2.67+送料)。商品説明では3A出力が謳われているもののこれは瞬間最大値らしく、使われているICのデータシートを確認すると、出力は連続最大1.8Aとのことなので、近頃のスマートフォンの急速充電にこれはちょっと力不足。
次に見付けたのがこちら、基板に型番表記が全くないのですが、Injoinic Technology社のIP6505搭載のQC3.0対応ダウンバータです(RMB9.7+送料)。この手のコンバータにしてはちょっとお値段高めですが、最大24W出せるのは魅力的。今回はこれを使うことにします。
コンパクトなアダプタ製作
この他、前回も使ったマキタ12V系コネクタ座(RMB2.5+送料)と、せっかくのQC対応をその動作状態を目視確認のために電圧パネルメータ(RMB3.5+送料)も加えることにし、これらを収めるケースには、YiDA社のこちらのPCB樹脂ケース(60x36x16mm)を加工して使います(RMB0.9+送料)。ケースは側面に配線用の小さな丸穴しか開いていないので、マキタコネクタ座に合わせた開口部をピンバイスとカッターで加工しました。
マキタコネクタ座は、断面が「工」字状になっているのでその上辺をトリミングし、ケースの中へ入り込んで接着する方法を採りました(下図右が加工後)。
ケースとマキタコネクタ座を接着する前に、車載電装に使われる太い線材で引き込み線を先にハンダ付けしておきます。
ケースとマキタコネクタ座を2剤式の接着剤でしっかり接着、端子のすき間にはホットメルトを充填して水やホコリでショートしないようにします。接着剤が乾燥した後、引き込み線をDC-DCダウンバータの入力にハンダ付けしました。
予め開けておいたUSB穴に合わせて、DC-DCダウンバータを位置決めして接着剤でしっかり固定します(この基板の裏面に実装部品は何もありません)。反対側の開口には電圧パネルメータをハメ込みます。
電圧パネルメータには力は掛からないので、瞬間接着剤で軽く固定の上、ホットメルトで補強しておきました。またケース上面には、発熱対策にアルミテープと絶縁にカプトンテープを張っています。
フタを閉め、マキタ互換バッテリーにまずは負荷無しで繋ぐと、現在の電圧が表示されます。
残念ながらQC対応ガシェットを持っていないのでQC動作を確認できませんが、普通のスマートフォンでしっかり高速充電されることを確認しました。
以前、モバイルバッテリ改造時にも活躍した可変負荷LD35とUSBテスターUM25Cを繋いで5V固定ながら負荷試験を実施し、3A超えても安定した電圧を維持していることを確認しました。
前回の巨大な筐体と比べ、今回は非常にコンパクトに仕上がりました。これなら電動工具や掃除機のそばに置いてくれるのではないでしょうか。