往年のモバイルバッテリ Panasonic QE-PL201を分解チェック

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図5.ZB2L3によるセル放電試験

10年前に初めて購入したモバイルバッテリ、Panasonic QE-PL201 がさすがに容量に劣化が見受けられるので、 分解 して中の 18650 バッテリセルの様子をチェックしたり、 ZB2L3 によるセルの放電容量計測や、 UM25C + LD35 によるUSB出力の積算容量計測を試行してみました。

外観

Panasonic QE-PL201 を購入したのは2011年、18650バッテリを2本内包していて分厚いため、カバンの中でかさばるのが難点でした(現在ではもちろん生産終了)。基本性能は筐体裏面に次のように明記されています。

  • 充電 : 最大1A
  • 放電 : 最大1.5A
  • セル : 3.7V / 5400mAh (20Wh)
図1.QE-PL201全景

図1.QE-PL201全景

分解

本体裏面にあるネジ穴にトルクスネジを外しても上下筐体はツメで留まっている上に、中でさらに18650バッテリが両面テープで筐体としっかりため、ヘラで少しずつ剥がして殻を割ります。

このモバイルバッテリは無線充電に対応しているため、筐体にしっかり接着されているコイルのリード線を基板からはんだこてで一旦外しています。

図2.QE-PL201分解

図2.QE-PL201分解

基板をよく見てみると、AVRマイコン ATMEL MEGA8535Lが載っていて驚きました(当時はまだ電源コントローラICが普及していなかった!?)。 ちなみに基板裏面から18650バッテリ側面へ生えているのは、サーミスタです。そしてバッテリセルの型番を調べてみるも、詳細は判明せず。おそらく色合いからみて三洋セルかと思われます。

図3.セルと基板拡大

図3.セルと基板拡大

殻割りはまず、硬い樹脂ヘラで筐体の境目を少しずつこじり、筐体のツメが外れたところで、金属のペラペラなヘラで中の両面テープを剥がす要領でした。

図4.分解に使用した工具

図4.分解に使用した工具

ZB2L3によるセル放電試験

中のセルを拝むことが出来たので以前、様々な18650バッテリの容量計測に使ったZB2L3を使って、搭載されているセルの放電容量を計測してみます。

満充電での初期電圧が4.17Vあるセルの放電終了電圧を、前回同様2.70Vに設定して試験開始すると、数時間後に2,891mAh放電したところで終了しました。18650バッテリ2本並列したまま計測しているので、仕様の六割程度まで劣化していることになりますが、年数を鑑みると致し方ないところでしょう。

図5.ZB2L3によるセル放電試験

図5.ZB2L3によるセル放電試験

UM25C+LD35によるUSB出力電力計測

続いてUSB出力をUSB電子負荷LD35とUSB多機能テスタUM25Cで計測してみますが、やはり取り出せた積算電力が製品仕様の半分でした。なお、積算電流についてはセル単体の場合と電圧値が異なるので、単純比較は出来ないので参考程度。

  • 積算電流:2,216mAh
  • 積算電力:10.66W
図6.USB出力電力計測

図6.USB出力電力計測

図7.USB出力電力計測結果

図7.USB出力電力計測結果

以上、簡単ながら10年選手のモバイルバッテリの現状確認でした。急速充電にも非対応ながらも、しくみ作りはしっかりしていそうなことから、いずれ18650セルを新品に載せ替えてみるつもりです。

 

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