USB昇圧DC12V変換ケーブルを分解してみる

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USB チャージャーやモバイルバッテリから得られる5Vを入力とし、出力側のDCプラグからは DC12V を取り出すことが出来る、 昇圧 コンバータ内蔵の 変換ケーブル が安価で出回っていたので、購入して分解の後、実際に USB 可変負荷LD35を繋いで取り出せる出力電流を計測してみました。

製品基本情報

この手の電圧変換ケーブルはいくつかありますが、今回淘寶で購入したのはUSB Aコネクタ内にDCコンバータ基板を内包しているタイプのこちらの変換ケーブルです(RMB8+送料)。

図1.USB昇圧DC12Vケーブル

図1.USB昇圧DC12Vケーブル

日本でもアマゾンなどで容易に見つけることが出来る商品で、12V 5〜6W出力が謳われています。

分解

昇圧コンバータ基板が収められているUSB Aコネクタは接着処理されておらず、プラモデルのようにダボ・ダボ穴で留まっているだけなので、すき間にカッターの刃を入れて少しこじると、簡単に開けることが出来ます。

図2.USBコネクタ部を分解

図2.USBコネクタ部を分解

USB Aコネクタの載った基板を取り出してみると、裏面に仕様の記載がありました。

図3.昇圧コンバータ基板表裏

図3.昇圧コンバータ基板表裏

基板上の「AL718」とマーキングのある半導体がコンバータと思われるものの、この型番ではそれらしき素子は見つからずじまい。しかしながら基板裏面の「SD XMDZ」で調べてみると、この基板の電気特性に関する詳細な計測レビュー記事が有りました(Great Works!!)。

やはりあまり大きな電力は取り出せない他、出力にリップルノイズが目立つことから、出力段のデカップリングキャパシタの容量不足が指摘されていました。

 

出力電圧電流特性の実測

実際にどの程度の電力が得られるのか、以前紹介したポータブルスポット溶接機をポータブルUSB電源として用い、USBテスタUM25Cを介してこの昇圧ケーブルを繋ぎ、DC12V出力側にはUSB用可変負荷LD35を接続して、出力電流を可変させながらその電圧を計測してみました。

図4.可変負荷LD35を用いた計測風景

図4.可変負荷LD35を用いた計測風景

計測結果は次の通りで、グラフの横軸が出力電流、縦軸(左)が電圧値で、赤線は出力電圧を示し、緑線は入力電流(縦軸右)を示します。このグラフからも分かるように、出力として実用的なのは0.4Aまでと言うことになり、その時の入出力の変換効率はおおよそ82%前後でした。

図5.出力電流に対する入出力電圧特性

図5.出力電流に対する入出力電圧特性

 

このUSB昇圧DC12V変換ケーブルにより、家庭用の小型ルータやネットワークハブ、LEDデスクライトなどの小型機器をUSB5V化することで、機器ごとに乱立するACアダプタをUSBチャージャーにまとめたり、デスクライトではモバイルバッテリと組み合わせることで、どこにでも設置できるようになると思います。

 

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