Celeron J4125搭載ミニPCのOpenWRTで使うWiFi PCIeカードの検討

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Celeron J4125 搭載産業用ミニPCに OpenWRT を導入しWiFiルータとして使うために、Intel AX200 の他、 OpenWRT とは比較的親和性の高いと言われている、MediaTek 製チップを搭載しているPCIeカードを試してみました。

購入したPCIe WiFiカード

前回、Celeron J4125搭載産業用ミニPCにOpenWRTを導入し、WiFiルータとして使うためにIntel AX210 WiFi6Eカードを試すも、肝心な5GHz帯が使えませんでした。

そこで今回購入したのがこちらの3種類のWiFiカードと、M.2カードをmini PCIeに変換するゲタです。

図01.PCIe WiFiカードたち

図01.PCIe WiFiカードたち

M.2インターフェイス仕様のIntel AX200MediaTek MT7921Kのアンテナ端子には、従来のIPEX MHF(下図右)が小型化したIPEX MHF 4(同左)が使われており、両者に互換性はありません。

図02.IPEX MHF 4と初代

図02.IPEX MHF 4と初代

今回も前回と同じく、OpenWRT 22.03-rc6(Kernel 5.10.134)を検証環境に進めます。

 

Intel AX200

まず最初に試してみるのは、前回試したIntel AX210の1つ前のモデル、AX200NGWです(淘寶でRMB75)。AX210を含めこのAX200以降、Intelからリリースされているのは、本来M.2仕様のこうしたモデルのみらしいです。

図03.Intel AX200NGW

図03.Intel AX200NGW

J4125 ミニPCにはM.2スロットが無いので、こちらのM.2→mini PCIe変換ゲタを併せて購入しました(淘寶でRMB10)。

図04.M.2→mini PCIe変換ゲタ

図04.M.2→mini PCIe変換ゲタ

実際にゲタを装着したAX200はこのようになり、マザーボード側のmini PCIeスロットのハーフ、もしくはフルサイズのネジ穴に合わせて固定します。

図05.ゲタを装着したAX200

図05.ゲタを装着したAX200

前回AX210を試した環境からiwlwifiパッケージは残し、iwlwifi-firmware-ax210をアンインストールした状態でOpenWRTを起動すると、 lspci にデバイスは現れるものの、iwlwifiだけではうまく扱えずにエラーが続きます。

iwlwifi-firmware-ax200パッケージをインストールして再起動すると、今度は正しく認識されてwlan0インターフェイスが用意されていました。

図06.OpenWRT AX200 インターフェイス

図06.OpenWRT AX200 インターフェイス

sshコンソール上で logread -f によるログ監視を続けながら、LuCi上で設定をあれこれ変えて試してみると、 hostpad が受け入れ難い設定がなされようとすると、次のエラーエントリが出力されます。

5GHz帯では、デフォルトの自動チャンネルのままでは、次のエラーで失敗します。

国コードとチャンネルを指定すると今度はDFSに阻まれてRadio Upは失敗します。

AX210の時もそうでしたが、こうしたDFSエラーで5GHz帯を使えない事例は、フォーラムでもよく挙がっているのですが、現状では諦めるしかなさそう。

一方の2.4GHz帯では、AXモードでチャンネルを指定してようやくRadio Upとなりました。但し、 Force 40MHz mode オプションにチェックを入れないと、いかなる帯幅(20, 40, 80MHz)を指定していても、常に20MHz幅になってしまうので注意( option noscan '1' )。

 

MediaTek MT7921K

続いては、MediaTek MT7921に6GHz帯サポートを加えたMT7921K(AMD向けにはRZ608として供給されている)を試してみます(淘寶でRMB68)。パッケージ裏面には珍しく技適マークもあります。

図07.MediaTek MT7921K RZ608

図07.MediaTek MT7921K RZ608

AX200同様、M.2→mini PCIe変換ゲタに収めてJ4125 PCへ搭載するのですが、その前に次のいらなくなったIntel系パッケージを予めアンインストールしておきます。そして /etc/config/wireless も適当にリネームして再利用されないようにします。

  • kmod-iwlwifi
  • iwlwifi-firmware-ax200

素の状態でMT7921Kを装着して起動させると、RZ608の名前でデバイスを発見。

MT7921系のパッケージをインストールして再起動してみるも、

ドライバがロードされる形跡がないことから、これ以上の考察は断念します。カーネル 5.14以降でサポートされるとの話もあるので、OpenWRTに限らず、広範なLinux系においてもまだまだ使えていない状況なので、今後に期待でしょうか。

 

Wallys Tech DR7915 (MT7915+MT7975)

最後に試すのはちょっと異様な外観のこちらのカード、Wallys Tech DR7915です。

図08.Wallys Tech DR7915

図08.Wallys Tech DR7915

メーカーサイトの製品ページにもあるように、本品はMediaTek MT7915DANとMT7975の2つにより構成されています。

そのせいか注意しなくてはならないのはその厚みで、基板裏面にもしっかり出っ張りがあるので、マザーボードへの搭載時にハーフサイズ用のネジ基台が残っていると、干渉してしまいます。

図09.DR7915の厚み

図09.DR7915の厚み

先ほど入れたMediaTek系パッケージを全てアンインストールしてから、DR7915をmini PCIeスロットへ搭載します。

図10.DR7915を搭載

図10.DR7915を搭載

素の状態ではデバイスは見つかりますが、ドライバが必要です。

見つかった型番から、kmod-mt7915eパッケージ(及び依存パッケージ)をインストールして再起動。

WiFiインターフェイスが2つ現れました。

図11.OpenWRT DR7915 インターフェイス

図11.OpenWRT DR7915 インターフェイス

早速いろいろと設定を試してみるとまず2.4GHz帯は、デフォルトのままでも使えるものの、帯域幅は20MHz。これはこれまでの他のカード同様、帯域幅を指定しても無駄で、 Force 40MHz mode オプションを使って40MHzにするしか有りません。

続いて5GHz帯もデフォルトのままでもEnableとすることは可能でした。帯域幅は160MHzに設定しようとすると、

とエラー出力がログに出て、DFSにより阻まれていることが分かります。結局使えるのは80MHz幅までで、これは製品スペック通りではあります。

なお、簡易的なインターネットスピードテストでは、このカードで下り381Mbps・上り451Mbpsを得ることが出来たので、十分実用的でしょう。

 

これでハードウェア仕様は全て固まったので、次回はこのJ4125ミニPCへのVMware ESXiハイパーバイザ導入に進みたいと思います。

 

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