自分で 18650 バッテリを入れるタイプのPOWERBANKと呼ばれるスリムなモバイルバッテリ(のケース)を持っていて、スマホの充電はもちろん、Raspberry PiにI2S DACを載せたオーディオプレーヤなどの5V移動用電源としても活躍しています。激安な反面、出力が1A程度しか無いのでさすがに時代遅れ。 高出力 を見込める基板に載せ替えてみました。
POWERBANKを分解確認
改造するのはこちらのモバイルバッテリケース。18650充電池を別売りにしていて、激安でどこでも売っています(RMB2.5+送料で以前に大量購入)。しかしRaspberry Pi + I2S DACの起動に使えないので基板のICをみてみると、TPOWER社のTP4333というチップが使われていました。早速データシートを開いてみるとその概要は次の通り。
- 放電 : 1.0A
- 充電 : 0.8A
- 効率 : 93% @1A
そのコンパクトさを売りにしてあくまで非常用でのんびり充電、というところまでの性能で、Raspberry Piなどを動かすには残念ながら非力です。
MH-CD42基板を採用
代替品を探していたところ、MH-CD42と呼称されるICの載った基板を見つけたので購入(RMB7.5+送料)。これ調べてみてもそんな名前のチップは存在しないようで、それでも基板構成などから素性を突き止めた先人さまにはただただ敬服するばかり。Great Works!!
INJOINIC社IP5306のデータシートから抜粋比較してみると、以下の通りで申し分無さそうです。
- 放電 : 2.4A
- 充電 : 2.1A
- 効率 : 92%
こうした充放電基板にはUSBコネクタが載っている物も多いのですが、このMH-CD42基板には入出力端子のパターンがあるのみ。そこで、POWERBANK純正基板の電子部品を全て剥がし、残ったUSBコネクタを流用しつつ、MH-CD42基板をすき間に搭載する作戦とします。
早速、TP4333と周辺の電子部品を表裏全て取り払いました。
そして純正基板のUSB端子に被せる形でMH-CD42基板を載せ、各端子を結線します。MH-CD42上には各入出力にGNDが用意されていますが、どれも共通なのと流用している純正基板上でも各入出力のGNDは繋がっているので、GNDは両基板の間で1本だけ結線で済ませました。
通電試験〜完成
簡単な充放電試験の後、ポリイミドテープで基板上を覆って絶縁します。ホットグルーで固めてしまおうとも考えましたが、野外に放置した場合に思わぬ高温となる可能性を考えて止めておきました。18650バッテリを収めて蓋を閉じます。この状態でも白くて薄い樹脂の蓋なので、充電中のMH-CD42基板のLEDの光が漏れて確認することが出来ます。
USBテスターUM25Cと可変負荷LD35を繋ぎ、1.5A負荷で引っ張り試験で油断してたら、静かにカバーが溶けていました。
1Aを超える充放電時にはICとインダクタの発熱が顕著で、純正基板では、これらの発熱要素は樹脂ケースから距離を開けて配されいたのはこのためでした。非接触温度計で40℃弱程度なので、カバー裏面にアルミテープを貼り、溶けて穴の開いてしまったカバーは、ヒートシンクで埋めてみました。
2セル版も改造
実はこのPOWERBANKには2セル版もあるのですが、2セルも積んでいるのに基板はほぼ共通品、若しくはやや劣るICが使われていて、せっかくの2セルを活かせていません。
搭載されているHOTCHIP社HT4928Sのデータシートから抜粋すると、
- 放電 : 0.8A
- 充電 : 0.8A
- 効率 : 91%
既存の基板から電池の接点を外し、切り刻んだユニバーサル基板へUSBコネクタと共に実装、その上にMH-CD42を載せる方法にしてみましたが、正直これなら1セル版で採った方法の方が良さそう。