HP SimpleSave 暗号化機能付き外付けHDDのディスク交換

公開 | 更新 
図19.SPIフラッシュを無効化

不良セクタが増えて不安定になってきた HP SimpleSave 外付けHDDのデータ 救出 は成功するも、ディスク交換は 暗号化 チップの無効化ハックも効かないことから諦めました。

回復不能な不良セクタ

おそらく日本では未発売のHP SimpleSave外付けHDDは、香港でもほとんど見かけることはなく、今回初めて実物を手にしました(会社の同僚の私物)。筐体こそ違えど、中身はWD社のMy BookのOEMのような気がしました。

図01.HP SimpleSave 1.5TB 外観

図01.HP SimpleSave 1.5TB 外観

USB端子に接続後、OSがドライブを認識して使用可能になるまでに異様に時間が掛かる、時には認識されないこともあるとのことで、Windows 10のイベントビューアを確認すると、不良ブロックのエラーが挙がっていました。

図02.不良ブロックエラー

図02.不良ブロックエラー

少しでも良い状態でデータを取り出したいので chkdsk で回復を試みるも、異常に時間のかかるセクタが数箇所あって、完全回復は絶望的。

図03.chkdsk実行結果

図03.chkdsk実行結果

CrystalDiskInfoではSMART情報のC5、C6にアラートが出ており、

図04.CrystalDiskInfoの警告表示

図04.CrystalDiskInfoの警告表示

DRTC HDD-SCANのディスク不良セクタ検査では、4つの不良セクタが検出されました。

図05.HDD-SCAN不良セクタ検出

図05.HDD-SCAN不良セクタ検出

交換中古HDDのヘルスチェック

交換用に手頃なWD Blue 1.0TBの中古HDDの在庫が有ったので、同様にCrystalDiskInfoでその健康状態を確認。

図06.CrystalDiskInfo 交換ディスク

図06.CrystalDiskInfo 交換ディスク

こちらも不良セクタを含んでいるものの稼働時間が半分程度なのと、HDD-SCANで不良セクタが検出されなかったことから、交換ディスクに採用と判断。

図07.HDD-SCAN 交換ディスク

図07.HDD-SCAN 交換ディスク

FastCopyで高速ドライブコピー

交換ディスクをSATA-USBドックに挿して、データコピーの準備します。

図08.データコピー準備

図08.データコピー準備

今回は高速ファイルコピーツールとして定評のあるFastCopyを使って、ディスク間高速ファイルコピーしたいと思います。

FastCopyのGUIでは、オプション項目に全てチェックを入れた他、更にフィルタ機能を有効にして、除外フィルタに次の文字列を入れて、正常にコピーできないシステムオブジェクトをはじめから除外してしまいます。

図09.FastCopyによるHDD間転送

図09.FastCopyによるHDD間転送

USB2.0接続の2つのHDD間の200GB程度のファイルの転送・検証は、3時間程度で終わりました。結果、不良セクタに当たってしまい、壊れた状態でコピーされたファイルが1つだけありました。

 

SimpleSaveディスク交換

HDDのバックアップが取れたので、SimpleSaveを分解してHDDを入れ替えてみます。

分解はまず本体をひっくり返して底面のゴム足をめくり、その下にあるネジを外すところから。

図10.ゴム足をめくりネジ外し

図10.ゴム足をめくりネジ外し

ネジを4本外して底面を外せば、そのまま中へアクセスできるようになります。

図11.底面カバーを取り外し

図11.底面カバーを取り外し

HDDはゴムマウントで嵌っているだけですが、引き出す前に透明なLEDのライトガイドを中の爪を押しながら引き上げて、取り外します。

図12.ライトガイドの取り外し

図12.ライトガイドの取り外し

インターフェイス基板とHDDは2本のネジを外すと、SATAコネクタから引き抜けます。

図13.HDDから基板を取り外し

図13.HDDから基板を取り外し

図14.インターフェイス基板裏面

図14.インターフェイス基板裏面

SimpleSaveから外したWD Green 1.5TB(下図右)と、これから載せ替えるWD Blue 1.0TB(同左)。BlueはSATA-IIIなのですが、SimpleSave側が対応していないので速度は変わらないはず。

図15.故障したHDDと交換用HDD

図15.故障したHDDと交換用HDD

交換用HDDの組付けは、筐体奥にあるゴムマウントの切り欠きに向かって挿入するのが少し面倒。

図16.ゴムマウントの切り欠き

図16.ゴムマウントの切り欠き

 

奥のゴムマウントにHDDをセットできたら、分解と逆の手順で底面を元通り組み立てるだけ。そしてUSBケーブルを繋いだところで、ハードウェア暗号化機能の洗礼を受けます。

図17.交換したHDD読み込めず

図17.交換したHDD読み込めず

NTFSでフォーマットされ、ファイルも全てコピーしたはずのHDDは初期化されていないことになっており、初期化も拒否されます。

調べてみると、こうしたハードウェア暗号化機能のあるエンクロージャは、そのHDDの初回使用時には必ず専用のソフトウェアツールで初期化する必要があるのだとか。さらにそのソフトウェアは公開されていないので、実質的にHDDを交換して使い続けることは不可能ということに。

 

ハードウェア暗号化の回避試行

先ほどの分解時、インターフェイス基板上にWD外付けHDD(WD My Book)にも使われることの多い、Initio社の暗号化SATA-USBブリッジチップ INIC-1607E-C11が使われていることは確認していたので、

図18.インターフェイス基板表面

図18.インターフェイス基板表面

調べを進めると、WD My Bookを例に暗号化機能を無効化してHDDを入れ替えても使えるようにするハックが紹介されているのを見つけました。

曰く、暗号化チップ隣りにあるSPIフラッシュメモリへの給電を断って無効化することで、暗号化機能の無い通常のHDDエンクロージャとして使えるようになる、というもの。

記事の中で紹介されていた動画では、豪快にSPIフラッシュの8番ピンVccを根元から切ってしまっていましたが、さすがに怖いので、ハンダこてを当てながらピンを持ち上げて導通を絶ちました。

図19.SPIフラッシュを無効化

図19.SPIフラッシュを無効化

この状態でHDDを挿してUSBケーブルを繋いでみましたが、残念ながらUSBデバイスとして認識されなくなりました。

万策尽きましたが、死にかけのHDDからファイルデータはほぼ全て救出できたので、それを別のエンクロージャに収めて持ち主へ返却しました。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA