自宅の引き出しに入れていた モバイルバッテリ が、中の LiPo セルが 膨張 して筐体を無理やり押し開けて中身がコンニチワ。基板とは溶接されていたので、久しぶりに溶接機で新品のセルと交換 修理 しました。
膨れたLiPo電池セルの取り出し
以前、家電量販店でスマートフォンを購入した際にオマケで貰ったこのモバイルバッテリ SIDO S10MCU 1000mAh Power Bank、普段は机の引き出しにしまっておくのですが、ある日引き出しを開けてみるとこの有様にびっくり。
中のLiPo電池セルが膨れ上がり、ツメで嵌っているだけの筐体を押し開けていました。
筐体を開いて、中のLiPo電池セルと基板を取り出します。
使われていたセルは、115570 3.7V 5000mA 18.5Whの物が並列2枚、製造から2年強経過していました。
これまでにも何度か似たようなモバイルバッテリのLiPo電池セルを交換したことがありますが(関連記事はこちら)、今回はセルと基板がニッケルタブを溶接して繋がっているのが特徴です。
基板の確認と清掃
ニッケルタブの溶接部分をニッパーで剥がして、基板だけの状態にします。
搭載されているチップは、ETA SolutionsのETA9740充放電用ICでした。
ニッケルタブを剥がした部分は、新しいLiPo電池セルの再溶接に備え、カッターとヤスリで平らに慣らしておきます。
新しいLiPo電池セル
LiPo電池セルの打刻から同じサイズ・容量で、リード線も保護回路も何もない、ニッケルタブが出ているだけのセルを淘寶で探し、個当たりRMB14で購入。
タブを溶接して組み付け
以前、18650電池にニッケルタブを溶接するのに使った、ポータブルスポット溶接機を使って、LiPo電池セルから出ているタブを基板のスポットエリアへ溶接します。
先に基板を筐体へ組み付け、1枚目のセルのタブ長を調整したら、セル裏面に両面テープを貼って位置を決めます。
1枚目のセルのタブを溶接後、間に両面テープを挟んで2枚目を上から乗せて、同じ要領でタブをスポット溶接。
充放電問題ないことを確認したら、LiPo電池セルが中で動かないよう、両面テープで養生の上、筐体を閉じて修理完了です。
放電容量テスト
最後にUSB電子負荷LD35とUSB多機能テスタUM25Cを用いて、取り出せる電力量を測定してみました。LD35の負荷電流を1Aに設定して、UM25Cを通過する電力を積算します。
UM25CとAndroidスマホをBluetoothで接続し、専用のアプリで計測終了まで監視した結果は次の通り。
- 積算電流:6,506mAh ( 5V時 )
- 積算電力:32.6Wh
中のLiPo電池セルは2枚合計で公称37Whなので、その87.8%を取り出せていることになります。