Raspberry Pi Zero WとI2S DACで始めるラズパイオーディオ

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図13.RaspberryPi DAC ES9023x2 搭載完成

Raspberry Pi の遊び方の一つにいわゆる ラズパイオーディオ と呼ばれたりする、Raspberry Pi に I2S DAC を繋いでハイレゾ品質のオーディオを楽しむものがあり、私もいくつか I2S DAC 基板を持っていますが、今回その中から携帯性の良いモバイルバッテリと Raspberry Pi Zero Wを使った組み合わせを考えてみます。

VolumioをSDカードへインストール

Raspberry Piにおけるオーディオ再生に特化したディストリビューションには、今回使うVolumioを始め、moode AudioRuneAudioなどがありますが、仕組みはどれも似たりよったりなので、見た目にこだわりが無い限りは、手持ちのI2S DACでちゃんと音が鳴るシステムを選べば良いと思います。

Volumio公式サイトダウンロードページより、Zip圧縮されたイメージをダウンロードして、Ubuntu 18.04母艦で16GB micro SDカードに焼きます。

VolumioはRaspberryPi OS(但し、Debian Jessie相当)をベースとしていますが、SquashFSとOverlayFSを採用していることもあり、焼きあがったSDカードの中身は、これまでのRaspberry Pi OSとは異なる構成になっていました。

図01.Volumio 初回ブート前パーティション構成

図01.Volumio 初回ブート前パーティション構成

初回ブート前の各パーティション内のファイルは次のようになっていました。尚、 volumio_data パーティションは、初回ブート時に領域いっぱいまでリサイズされます。

OSの準備は以上です。続いてI2S DACをRaspberry Pi Zero Wに載せるのですが、今回は次の2種類のI2S DACを試してみました。

 

1) NXEZ HiFi DAC Zero (PCM5122)

NXEZ HiFi DAC Zeroは、公式ブログの記事がとても興味深い中国のブランド、NXEZから発売されているRaspberry Pi Zero向けのI2S DACで、米TI社のPCM5122を搭載を搭載しています(淘寶にてRMB116+送料にて購入)。Raspberry Pi Zero系のみならず、GPIOピンが同じRaspberry Pi 2B以降でも使用可能です。日本からでも、Aliexpressなどで比較的容易に入手出来ると思います。

図02.NXEZ HiFiDAC Zero 基板表裏

図02.NXEZ HiFiDAC Zero 基板表裏

Raspberry Pi Zero WとNXEZ HiFi DAC Zeroを組み上げたら、その小型少電力を活かして18650バッテリ1本を内蔵した、モバイルバッテリ(こちらの記事で基板改造済)から給電してみました。

図03.NXEZ HiFiDAC Zero 搭載完成

図03.NXEZ HiFiDAC Zero 搭載完成

Volumioを入れたmicro SDカードを挿しての初回起動は、公式クイックスタートガイドで解説されている通り、Volumio自身のWiFiホットスポットが立ち上がるまで、ひたすら待ちます。公式ガイドでは6分程度とありますが、おおよそ3分程度待ちました。

スマホのWiFiスキャンでVolumioホットスポットを見つけたら以下の要領で接続後、さらに数分待つとWiFiログインを促されるのでタップすると、初期設定ウィザードが始まります。

  • SSID: Volumio
  • Pass: volumio
図04.Volumio 初回Hotspotモードアクセス

図04.Volumio 初回Hotspotモードアクセス

初期設定ウィザードは後から何度でも実行可能なので、取り敢えずWiFiの接続設定だけ済ませて、それ以外の項目は別途、LAN上のPCのブラウザから続けることも可能です。

まずはホスト名の入力に続いてI2S DACの選択は、システムが互換性のありそうな種類をデフォルトでセットしていたので、これをそのまま採用して先へ進めます。

  • I2S DAC: HiFiBerry Amp2
図05.Volumio 初回設定ウィザード 1

図05.Volumio 初回設定ウィザード 1

WiFiの設定では、LAN内のAPを選んでパスフレーズを入力しますが、実際に接続が切り替わるのはこのウィザードが終了してからです。音源ファイルの収められたUSBストレージは、続く遷移でドライブを追加せずとも、自動的に認識されるので、何もせずにウィザードを完走させます。

図06.Volumio 初回設定ウィザード 2

図06.Volumio 初回設定ウィザード 2

再起動後はLAN上のWiFiへ接続しているので、Ubuntu 18.04母艦のブラウザ上で、次の要領でホスト名でアクセスしてみます(名前解決出来ていない様子なら、LANのDHCPサーバで払い出されたIPアドレスを調べて直接打ち込みます)。

実はI2S DACの設定はまだ終わっていないので、まだ音は出ません。設定を次の要領で進み、

【設定→プレイバックオプション→音量オプション】

その中のMixer Typeが正しく設定されていない( None や Hardware になっている)ためで、これを Software へ変更・保存の後、再び再起動させるとようやくハイレゾサウンドが鳴るようになりました。

  • Mixer: Software
図07.Volumio プレイバック設定 音量オプション

図07.Volumio プレイバック設定 音量オプション

Volumioの設定項目

音が鳴るようになったので、その他の設定項目で必要な部分をピックアップしてみました。

図08.Volumio 設定メニュー項目

図08.Volumio 設定メニュー項目

匿名情報送信無効

【設定→システム→Privacy Settings】

下記注釈の通り、Facebook PixelやGoogle Analyticsを通じた利用状況データ収集を有効・無効設定する項目があり、デフォルトでは有効になっているので、気になる場合はここで無効にすることが出来ます。

“Allow the collection of behavioural and usage statistics on Volumio UI via Facebook Pixel and Google Analytics. These datas are used to improve Volumio user experience.”

図09.Volumio システム設定 プライバシー

図09.Volumio システム設定 プライバシー

Hotspot Fallback

【設定→ネットワーク→Hotspot】

初回起動時にお世話になったホットスポットも普段は必要有りませんが、設置場所が変わるなどWiFiの接続情報が変わる場合、予めこのHotspot Fallbackを有効にしておけば、既知のWiFiが見当たらない場合にホットスポットモードで起動するので、孤立化を防ぐことが出来ます。

図10.Volumio ネットワーク設定 Hotspot

図10.Volumio ネットワーク設定 Hotspot

ssh有効

セキュリティ上の理由から、デフォルトではsshは無効になっています。これを有効にするには、デバッグ用隠しページを次の要領で開き、

ページ中のSSH項のENABLEボタンを押せば、即sshアクセスが可能になります。尚、これは再起動後も保持されるので、属するネットワーク環境如何によっては、注意が必要です。

図11.Volumio デバッグ用Devページ

図11.Volumio デバッグ用Devページ

せっかくなので、sshで中身を覗いてみました。起動前はSquashFSとOverlayFSで見慣れぬファイル構成でしたが、起動中は普通のLinux

 

次のページでは、もう一つのI2S DACへ載せ替えて、音の違いを検証してみます。

 

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