OpenWRTのWiFi WDS機能で無線LANのないデバイスでもWiFi接続

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前回、現行版の OpenWRT ファームウェアへ入れ替えたトラベルルータ、GL-iNet VIXMINI へ WDS 機能をセットアップし、有線LANポートしかないデバイス向けの WiFiアダプタ に仕立てます。

WDSかメッシュか

リピータ機能とかアクセスポイント間通信と呼ばれるこの機能、WDS (Wireless Distribution System)をOpenWRTで構築する手順は、公式ユーザガイドに解説されています。

しかし近年では、WDSより802.11sメッシュを用いたほうが高スループットを望める、との声もあるようですが、

読み進めると反論も同程度挙がっているようなので、今回は構築実績を調べやすいWDSで進めようと思います。

 

有線ポートインターフェイスの設定

前回、OpenWRT謹製ファームウェアへ入れ替えたVIXMINIは、素の状態にあるので適当なPCを有線LANポートへ繋いで作業を始めます。

前半は有線、無線各インターフェイスを次のように構築します(無線側のIPはDHCPなので接続先の構成に準じます)。

図01.両インターフェイス基本構成

図01.両インターフェイス基本構成

有線LANポート eth0 の属する brlan を次のIPアドレスに書き換えます。このIPアドレスは管理用なので、どこか他と重複しなければ可。

  • IPv4 Address   : 192.168.255.254
  • IPv4 Netmask   : 255.255.255.252 (/30)
  • IPv4 Broadcast : 192.168.255.255
図02.br-lan基本設定

図02.br-lan基本設定

さらに同インターフェイスのDHCPやIPv6を無効化。

図03.DHCPとIPv6を無効化

図03.DHCPとIPv6を無効化

デバイスを一度再起動させ、その間にPC側もDHCPから静的IPへ書き換えます。

  • Address : 192.168.255.253
  • Netmask : 255.255.255.252 (/30)
  • Gateway : 192.168.255.254
図04.PC側を手動IPへ設定

図04.PC側を手動IPへ設定

不要なファイアウォールゾーンの削除

続いて、不要なファイアウォールゾーンWANがあれば削除します。

図05.不要なfFWゾーンを削除

図05.不要なfFWゾーンを削除

WiFiをクライアントモードで接続

Wireless 項はまず、デフォルトのSSIDを削除してからWiFiスキャンを実行、接続先のアクセスポイントを見つけて選択します。

図06.Wireless削除とスキャン

図06.Wireless削除とスキャン

パスフレーズを入力し、ファイアウォールを lan ゾーンへ割当てます。

図07.無線ネットワーク接続設定

図07.無線ネットワーク接続設定

次のような状態になれば接続成功です。

図08.Wireless Overview

図08.Wireless Overview

こうして2つのネットワークインターフェイスができあがったところで、前半はここまで。

図09.インターフェイス一覧

図09.インターフェイス一覧

なお、OpenWRT公式ガイドでは wwan インターフェイスのIPアドレスを固定にしていましたが、接続先の可用性を高めるために、今回は敢えて DHCP Client にしています。

図10.wwanインターフェイス一般設定

図10.wwanインターフェイス一般設定

relaydパッケージをインストール

作業後半はWDS機能を実現するrelaydパッケージのインストールから。VIXMINIはWiFiに繋がったことで、インターネットが利用可能になっているはずです。

早速、パッケージリストを更新の後、次のパッケージをインストールします。

  • luci-proto-relay
図11.パッケージのインストール

図11.パッケージのインストール

リレーブリッジインターフェイスの作成

インストール後デバイスを再起動してから、インターフェイス一覧でリレーブリッジインターフェイスを作成します(インターフェイス名にハイフンを使うと怒られます)。

図12.リレーブリッジの作成

図12.リレーブリッジの作成

リレーブリッジインターフェイスの設定では、 br-lan と同じIPアドレスを入れ、リレー対象に lanwwan 両インターフェイスを加えますが、ファイアウォールゾーンには属しません。

図13.リレーブリッジの設定

図13.リレーブリッジの設定

VIXMINIのインターフェイス一覧が次のようになったところで、最後にデバイスを再起動させ、有線ポートに繋いでいるPCを再びDHCP自動に戻します。

図14.インターフェイス一覧最終形

図14.インターフェイス一覧最終形

各方向疎通確認

以上の設定作業で、VIXMINIの有線・無線両インターフェイスが同じネットワークに属するようになりました。有線ポートの先にいるPCが上流のネットワークを利用できるのはもちろん、逆にLAN上の他のデバイスからアクセスすることもできます。

図15.両インターフェイスをリレーブリッジ

図15.両インターフェイスをリレーブリッジ

ちなみに、VIXMINIの有線ポートを利用している機器が上流から付与してもらったIPアドレスは、 Routing StatusNeighbours から見つけることができます。

図16.Routing Status Neighbours

図16.Routing Status Neighbours

 

 

ここまでの作業で出来上がった設定ファイルは以下の通りです。

LuCIでは各ページに散り散りになっている設定も、設定ファイルベースではこれだけしか編集していないので、ターミナルから直接編集した方が早いかもしれませんね。

 

接続先SSIDを変える時は

もしWiFiの接続先を変えたい場合はどうすれば良いのでしょうか。

実際に何度か試してみた結論から言うと、 /etc/config/wirelessssidkey を直接編集して再起動するのが手っ取り早くて確実。LuCIからこれを行おうとすると、期待通りにインターフェイス間をリレーしてくれなくなることがありました。

 

こうしてできあがった「無線LANアダプタ」を、次回はWiFi機能の無いSynology NASに繋いで無線LAN対応させるつもりです。

 

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