MOSFETによるI2Cスレーブ機器への電流供給制御 (4) 改良と生産編

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前回の試作から3年、疫情も明けてようやく現地へ赴いて 環境センサ のメンテが可能になったことから、 MOSFET による I2C デバイスへの電力供給制御機能を盛り込んだ ESP-12E 環境センサを ケースに入れて量産しました。

改良1. ESP-12EのA0端子でI2CのGND電位を計測

前回以降に得た知見から量産前にいつくか改良を施しました。

そのまず1つが、ESP-12Eの持つアナログ入力端子 A0 を使い、I2Cの GND が確かにMOSFET(AO3400)によって開閉されているのか、確認するというもの(関連記事はこちら)。

図01.A0端子を追加した回路図

図01.A0端子を追加した回路図

本来ならばMOSFETはI2Cの Vcc を開閉し、その電位を A0 端子で確認するのが分かりやすいのですが、それは将来の課題に。

I2C GND の電位計測であれば、配線とコネクタ1本追加なので改造範囲も少なく済みます。

図02.A0端子追加版の製作

図02.A0端子追加版の製作

ケースに入れる前に、裸のESP-12Eと繋いで動作確認。

図03.ESP-12Eへの接続

図03.ESP-12Eへの接続

改良2. ESP EasyのRulesでGPIOの状態をセット

ESP Easyでは Hardware タブでブート時のGPIOの初期状態を設定することができるはずなのですが、期待通りに機能しないことがよくありました。

そこで、独自のカスタムスクリプトを定義できるRules機能を使って、GPIOの初期状態をセットするようにします。

図04.ESP Easy カスタムルール

図04.ESP Easy カスタムルール

まず、ESP Easy の Tools >> Advanced でRulesを有効にした後、 Rules タブを開いて起動時に GPIO10HI にするカスタムルールを次のように設定します。

 

ESP Easy上でMOSFETによるI2C給電制御

平常時、ESP Easyの Devices タブには、2つの環境センサBME280とBH1750の計測値の他、I2CバスのGND電位とそれを制御する GPIO10 の状態が、以下のようになっています。

図05.ESP Easy Devices通常時

図05.ESP Easy Devices通常時

少し分かりにくいのでまとめると、GPIO10とI2Cバスの関係は次の通り。

  • GPIO10 Hi : A0 = GND : I2Cバス通電中
  • GPIO10 Lo : A0 ≠ GND : I2Cバス断電中

ESP Easyの Tools タブの Command 欄に直接GPIOを制御するコマンドを送信して、I2Cバスへの給電を絶ってみます。

図06.ESP Easy GPIO10を制御して切り操作

図06.ESP Easy GPIO10を制御して切り操作

再び Devices タブを開くと、確かに切られたことが分かります。環境センサ計測値は以前の古い値がそのまま保持されています。

図07.ESP Easy Devices切断時

図07.ESP Easy Devices切断時

試しに Tools タブから I2C Scan をかけてみると、センサデバイスは検出されます。

図08.ESP Easy I2C Scanにはデバイス検出

図08.ESP Easy I2C Scanにはデバイス検出

但し、ログを数分間確認していても、それらセンサデバイスの計測がログに挙がって来ないので、I2Cバスへの給電切断は果たせたと思って良さそう。

図09.ESP Easy Log センサ計測ログ無し

図09.ESP Easy Log センサ計測ログ無し

ちなみにI2Cバスへの復電は、先ほどの Command 欄で次のコマンドを送信するだけ。

 

ESP-12Eケースの製作

ESP-12Eを入れるケースは、淘寶でPCB製の筐体を購入(RMB0.9/個)。サイズは外寸60x36x16mmで、ピンヘッダの付いたESP-12Eがちょうど収まるので、樹脂製のM2.5スペーサ4mm高を接着して固定台座としました。

図10.ケースにESP-12E搭載座加工

図10.ケースにESP-12E搭載座加工

ESP8266の金属シェル付近には、発熱対策にアルミテープとカプトンテープを貼り付け。

ケース上蓋には、使用するピンヘッダの開口をカッターであけました。

図11.ケースへ組み込み前

図11.ケースへ組み込み前

ケースを閉じてセンサ基板を繋いで完成です。

図12.ESP-12E環境センサ完成

図12.ESP-12E環境センサ完成

同じものを6個、初回ロットとして生産しました。

図13.量産第1ロット製作完

図13.量産第1ロット製作完

これらを現在ブレッドボードで運用している環境センサユニットと入れ替えて数ヶ月経ちますが、全機問題無く機能しています。

 

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