StarWind V2V ConverterでVMware ESXi 8.0にOpenWRT仮想ルータを構築

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OpenWRT仮想ルータ疎通設定

初回起動をESXi Host Clientのブラウザコンソールで確認すると、2つのI225有線LANポートがそれぞれ、

  • eth0 : LAN (br-lan)
  • eth1 : WAN

となっていて違和感を感じ、以下の要領で入れ替えました。

さらに、暫定的にWANから管理できるようにFirewallを設定します。

この状態でWANポートを既存の自宅LANへ繋いで、以降のセットアップを進めます。

 

ルートパーティションの拡張

OpenWRTのルートパーティション拡張手順は、公式ユーザガイドで主にx86アーキテクチャ向けに解説されています。

図31.LuCI ルートパーティション拡張前

図31.LuCI ルートパーティション拡張前

コンソールに入り、 parted をインストールして現在のパーティション構成を確認します。

次に blkid で拡張前の PARTUUID を確認しておきます。

ルートパーティション /dev/sda2 を最大値まで拡張したら、もう一度 blkid を実行してみて、 PARTUUID が変わっていないことを確認します。

続いてファイルシステムの拡張です。通常はアンマウント状態で行うものですが、OpenWRT 19.07以降ではマウント状態のままでも拡張可能と言われています。

ファイルシステムを操作する resize2fs の他に、ループデバイスを扱う losetup をインストールします。

そのままルートパーティション /dev/sda2 をループデバイスに登録し、そのループデバイス /dev/loop1 に対し resize2fs でパーティション一杯までファイルシステムをリサイズします。

df で確認すると既にリサイズが反映されている感じですが、一度再起動するのが安全です。

図32.LuCI ルートパーティション拡張後

図32.LuCI ルートパーティション拡張後

DR7915直通のWiFiインターフェイス

WiFi6対応WiFiモジュールDR7915のOpenWRTでのセットアップは、デバイスをパススルーモードにしているので、前回の記事と同じ要領です。

pciutil をインストールしてデバイスが存在していることを確認します。

MT7915のカーネルモジュールとhostapdをインストールしたら、一度OpenWRTを再起動。

再起動後、 wlan0wlan1 インターフェイスが増えているのを確認したら、以下の要領で2.4G、5GのWiFiをセットアップします。

  • radio0: 2.4G AX mode  40MHz   600Mbps  26dBm/398mW
  • radio1: 5.0G AX mode  80MHz  1200Mbps  23dBm/199mW

図33.LuCI Wireless Interface

図33.LuCI Wireless Interface

ASUS Zenfone8 Flip(関連記事はこちら)からWiFiに繋いで、インターネットスピードテストを試してみた結果もまずまず。

図34.スピードテスト結果

図34.スピードテスト結果

物理インストール時とのベンチマーク比較

前回、物理ルータとしてOpenWRTをインストールした時にいくつかベンチマークを取得していたので、今回も同じ要領で計測して結果を比較してみたいと思います。

仮想マシンとしてのOpenWRTベンチマーク計測結果を、前回の物理マシンOpenWRTの計測値(カッコ内)と比較してみると、〜3%程度の低下に収まっているので、仮想化はデメリットにはなり得ないと言えるでしょう。

  • AES-256-GCM_8KB
    Single: 1,259,233.28k (1,304,805.38k) -3.5%
    Multi : 5,017,578.15k (5,051,872.60k) -0.68%
  • ChaCha20-Poly1305_8KB
    Single: 496,410.62k   (  513,794.05k) -3.4%
    Multi : 1,977,606.14k (1,988,444.16k) -0.54%
  • CoreMark
    : 14,766        (15,301)        -3.5%

 

OpenWRTの定番カスタマイズ

まず、open-vm-toolsのOpenWRT向けパッケージをインストールします。

仮想マシンを再起動後、ESXi Host Client上にネットワークやストレージ情報が表示されるようなりました。

図35.open-vm-tools導入後

図35.open-vm-tools導入後

 

次に以前、FriendlyElec NanoPi R2Sで動くOpenWRTに施したマルチコア向け設定を元に、IRQ BalanceとFlow Offloadingを有効にします。

 

続いてデフォルトシェルをbashに変更します。

アップグレード時など、bashパッケージを喪失した場合の備えを /etc/rc.local に仕掛けておきます。

 

最後にvnstatを導入します(同じOpenWRT系のGL-AR750Sへの導入例はこちら)。

OpenWRTが使うvnstatの設定ファイルはこのように。

/etc/vnstat.conf に記載されているデフォルトのデータベースファイル保存場所 /var/lib/vnstat/ は、OpenWRTではtmpfsに属するので再起動すると消えてしまいます。

GL-AR750Sの時はSDカードを保存先にしていましたが、今回はひとまず /root/ 下へ置くことに。

 

以上、ルータとして基本機能が整ったところで今回はここまで。次回はESXiホストに今後作成する仮想マシンがアクセスするためのネットワークを構築したいと思います。

 

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